臨床検査には、一般検査のほかに血液検査、生化学検査、輸血・免疫血清検査があります。
今回は、血液検査についてまとめます。
血液検査では、少量の採決で赤血球や白血球、血小板などの異常を調べることができます。
健康診断や人間ドックでは必ず行う検査です。
では、血液検査のうちの赤血球からまとめていきます。
血液検査とは
血液は、体の隅々まで酸素や栄養分を運ぶとともに、二酸化炭素や老廃物も運び出す働きをしています。そのため、血液は全身の臓器や組織の健康状態を反映しており、どこかで異常がおこり、増悪した場合に異常所見として現れます。
このことから、血液検査は、大まかではありますが、全身の健康状態を知るために基本となる指標となっています。
血液成分
血液は帆地しておくと、上下2層に分かれます。
黄色が買った上の層を血漿、赤く固まった下の層を血球と言います。
結晶は全体の約55~60%を占めており、血球は約40~45%を占めています。
さらに細かく見ていくと、結晶の成分は水分が約90%を占めており、その他にアルブミンやグロブリンなどの血漿タンパク、糖、電解質、凝固因子のフィブリノゲンなどが含まれています。
血球成分には赤血球、白血球、血小板が含まれています。このうち、赤血球が約45%と血球成分のほとんどを占めており、白血球や血小板はそれぞれ1%以下です。
赤血球は肺で受け取ったきれいな酸素をからだ中に運び、不要になった二酸化炭素を運び去る働きがあります。
白血球は、生体内に侵入してきた細菌などの微生物を取り込んで貪食したり、免疫抗体を作って免疫反応を行ったりします。
血小板は、出血したときに止血する働きがあります。
血液検査で調べる項目
血液検査は、血球成分の形や量を調べる末梢血検査、
止血の働きを調べる血液凝固検査、
血液の沈降速度を調べる赤血球沈降速度の3つにわけることができます。
- 末梢血検査・・・赤血球、白血球、血小板
- 血液凝固検査・・・出血時間、APTT、PT、トロンボテスト、フィブリノゲン等
- 赤血球沈降速度
まずは、末梢血検査について、赤血球、白血球の順にまとめていきます。
赤血球(RBC)
赤血球は円盤状で真ん中がへこんだ形をしています。大きさは7~8μm程度です。
また、赤血球は赤色をしていますが、これはヘモグロビンという血色素を持っているからです。
基準値
男性:414万~563万/μL
女性:373万~495万/μL
ヘモグロビン(Hb)
このヘモグロビンが酸素を運ぶ中心的な役割を担っています。
ヘモグロビンはヘムという鉄分とグロビン(蛋白)が結合したたんぱく質です。
ヘム鉄が酸素と結びつき全身の組織に酸素を運び、不要になった二酸化炭素を運び出します。
赤血球の約30%をヘモグロビンが占めており、残りはほとんど水分が占めています。
基準値
男性:12.9~17.4g/dL
女性:10.7~15.3g/dL
ヘマトクリット(Ht)
赤血球は血液中に浮かんでいますが、このうち赤血球が占める容積の割合をヘマトクリットといいます。
ヘマトクリットは、一定量にどのくらいの割合で赤血球が含まれているか調べる検査です。
そのため、ヘマトクリットは赤血球数、ヘモグロビン量とそれぞれ連動して変化します。
すなわち、赤血球数が減ると、赤血球に含まれるヘモグロビンの量は減少し、血液中の赤血球の容積が減るのでヘマトクリット値も低下します。
逆に赤血球数が増加すると、ヘモグロビン量は増加し、血液中の赤血球の容積が増えるのでヘマトクリット値も増加します。
基準値
男性:38.6~50.9%
女性:33.6~45・1%
赤血球の異常が疑われる病態
赤血球数が増加する場合は、多血症(赤血球増加症)が疑われます。
骨髄において赤血球系造血細胞が異常に増殖することによる真性赤血球増加症や、腫瘍などでエリスロポエチン産生亢進、あるいは低酸素状態が持続するために生じる二次性赤血球増加症があります。
また、脱水や下痢など循環血液量が減少して見かけ上赤血球増加が見られる相対的赤血球増加症があり、これには肥満、喫煙や飲酒などの種々のストレスによるものも含まれます。
これらの赤血球増加症のなかでは、相対的赤血球増加症が多いと言われています。
赤血球数が減少する場合には、貧血が疑われます。
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