漢方薬の基礎⑧ 

医療・薬

今回は漢方と西洋医学との違いについて学んでいきたいと思います。

漢方と西洋医学の特徴

漢方も西洋医学もともに「心身ともに健康で長生きできる」という究極的な目的がありますが、

それに向けた歴史的、文化的な背景がまったく異なることから、

病気に対する考え方や病人に対するアプローチの仕方が異なります。

(東洋)漢方・・・2000年ほどまえに中国で始まる

(西洋)西洋医学・・・2400年ほど前に古代ギリシャで始まる
           医学の父、ヒポクラテスが原始的な医学から迷信や呪術を切り離し、
           科学的な医学を発展させました。

東洋医学の思想

古代中国では、紀元前3世紀ごろの「呂氏春秋」の思想では

「人間は本来長寿であるが、これは命を継ぎ足しているのではない。長生きするためには不摂生などの害を取り去ればよい。」

という内容が書かれています。

この思想は東アジア医療の根底に流れている哲学のようなもので、東洋医学や道教などにも引き継がれています。

すなわち、東洋医学の思想的背景は、本来人間が持っている「長生き」する力を妨げているもの、これは「病気」かもしれないし、「不摂生」や「不養生」かもしれませんが、それを取り除くことで自然治癒力を最大限にしようとするものです。

よって、使用するのは自然に逆らわない穏やかな薬が好まれます。また、養生、医食同源などの思想が入ってきます。

西洋医学の思想

東洋医学に対して、西洋医学は、薬をつかって病変部を取り除いたり、手術をするなどして、体をコントロールしようとして、短命を伸ばす考えです。

医学の進歩が寿命を延ばしたと考えられています。

万人に効かないと薬として認められず、副作用は使う側がコントロールするという発想です。

人間は放っておけば短命であるという発想は、キリスト教世界でいう原罪を背負った「アダムとイブ」の世界に共通するものがあるのかもしれません。

東洋西洋の両医学が発展した文化的、思想的背景の違いによるものだと思われます。

病気の原因の求め方

西洋医学では病気の原因を細菌やウイルスといった外因に求める傾向があることに対し、

東洋医学では、個々の人間の内部環境(内因)重視しています。また、東洋医学では病気が起こっている異常部位だけに着目せず、人間全体のバランスとして未だ病に侵されていない健常部分も含めてトータルに病人を立て直していき、個人の自然治癒力を高めていきます。

このように、西洋医学と東洋医学には異なること、その理由があることを学びました。

現在の医療ではどちらも用いた総合的な治療がなされているので、どちらの医学も知っておく必要があると感じます。

では(@^^)/~~~

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