今回は、西洋と中国の生薬学の歴史についてまとめたいと思います。
生薬は、西洋と中国でどのように研究されてきて今に至るのか・・・
西洋と中国では、生薬学の成り立ちに大きな違いがあります。
西洋
生薬を自然の中の一部と考えて形態的な観点から分類したうえで、有効成分を追求する学問として発展してきました。
中国
人間に対する作用という観点から生薬を分類しています。
そして、生薬を多成分系のまま一つの薬物と考えて薬効を論じる学問として発展してきました。
中国の特徴
中国では、複数の生薬を配合して効果・安全性を高めることを生み出しました。
また、中国で薬草学のことは本草学と呼ばれていたそうです。
中国最古の本草学書「神農本草経」
1~2世紀に成立されたとされている、神農本草経には1年の日数に相当する365種の生薬の薬効が開設されているそうです。
365種の生薬は、人間に対する作用の強さや安全性の観点から3つに分類されました。
- 上薬(じょうやく)
- 中薬(ちゅうやく)
- 下薬(かやく)
この分類方法は「三品分類」と呼ばれています。
この分類の定義についてみていきたいと思います。
三品分類の定義
上薬
「君」(王クラス)と表現される最も重要な薬です。
120種あります。
命を養う目的の薬であり、無害で、長期間服用しても問題がなく、身体を軽くし、不老長寿の作用があるとされています。
上薬に該当する生薬・・・人参、甘草、黄耆など
中薬
「臣」(大臣クラス)と表現されます。
120種あります。
体力を養う目的の薬であり、上薬を助ける役目をもっているとされています。
使い方次第では毒にもなる薬のため、うまく加減して使用する必要があります。
病気を予防し、虚弱な体を強くするものです。
中薬に該当する生薬・・・麻黄、葛根、当帰、芍薬など
下薬
「佐使」(下級役人レベル)と表現されます。
125種あります。
病気を治すために用いる薬であり、上薬や中薬の作用を補佐する役目を持っているとされています。
有毒であるため、長期間は服用してはいいけないものだそうです。
下薬に該当する生薬・・・附子、半夏、杏仁、桃仁など
これらの分類が現代の科学でもってすべて納得できるものではないようですが、「神農本草経」に記されている薬効は生薬の研究を進めるうえで現在でも参考にされているようです。
次回は、中国と日本の生薬の違いについてまとめます。
コメント