糖尿病の治療薬である、デベルザ(成分名:トホグリフロジン)のMRさん開催勉強会がお隣の病院と合同でありましたので、その時の内容をまとめます。
薬剤名
デベルザ錠20mg
有効成分
トホグリフロジン水和物
効能効果
2型糖尿病
用法用量
1日1回 朝食前または朝食後 1回20㎎(1錠)
禁忌
過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の患者
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
注意事項
- 3か月投与しても効果不十分な場合は別の適切な治療法に変更すること。
- Scr上昇、eGFRの低下がみられることがあるため、定期的に腎機能検査をすること。
- 腎機能障害患者には慎重投与
- 尿路感染および性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるため、注意必要
- 本罪の利尿作用により多尿、頻尿がみられることがある。体液量が減少するじちがあるので適度な水分補給を行うよう指導が必要。特に高齢者や利尿薬併用患者等、体液量減少を引き起こしやすい患者は脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症に注意。
- 尿中グルコース排泄促進作用により血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が更新してケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること
- 悪心嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害などの症状がみられた時には血中または尿中ケトン体測定を含む検査を行う
- 特にインスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので観察を十分行う
要指導項目
- ケトアシドーシスの症状:悪心嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害 等上記の症状があらわれた場合には直ちに医療機関を受診すること
- 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうること
- 排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに、他剤での治療を考慮すること
- 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、車の運転など危険を伴う作業には十分注意すること
- 重度の腎機能障害患者、透析(HD)患者には投与しないこと(本剤の効果が期待できないため)
デベルザの特徴
SGLT2を選択的に阻害し、過剰なグルコースの尿中排泄を促進することにより血糖コントロールを改善する
SGLT2選択性(in vitro)
デベルザ | フォシーガ | カナグル | スーグラ | ジャディアンス | ルセフィ | フロリジン(リード化合物) | |
ヒトSGLT2 IC50(nM) | 2.9±0.7 | 1.3±0.2 | 6.7±2・9 | 2.8±0.5 | 3.6±1.6 | 3.1±0.1 | 16.4±5.2 |
ヒトSGLT1に対する選択性 | 2900 | 610 | 290 | 860 | 1100 | 1600 | 11 |
蛋白結合率
82.3~82.6%
蛋白結合率が比較的低いことから、糸球体でろ過される遊離型の割合が高い。
血中半減期
5.4時間
(絶食時における単回投与時の血中半減期)ほかのSGLT2阻害薬に比べ短い。
作用部位
尿細管
デベルザは糸球体でろ過されて原尿中に移行し、管腔側からSGLT2に結合することにより作用を示すと考えられている。
尿中排泄率 77.0%
尿中未変化体 16.1%
最後に
MRさんいわく、
デベルザは他の薬剤とは異なり、血中半減期が短い分、夜間頻尿が増えない。日中の尿量は増える。
体重減少も投与すぐから顕著に出現するため、体重増加しているDM患者には適している。
とのことでした。
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