次は白血球についてまとめます。
白血球(WBC)
白血球は、顆粒球、単球、リンパ球の大きく3つに分けられます。
顆粒球はさらに、好中球、好酸球、好塩基球の3つに分類されます。
それぞれの存在比は、顆粒球では、好中球が50~60%とほとんどを占め、好酸球は3%、好塩基球は1%しかありません。
単球は5%、リンパ球は30~40%を占めています。
単球は、血管外に出ると、マクロファージとなります。
白血球の働き
白血球は、体内に細菌や異物が侵入すると偽足を伸ばして細菌を自分の体に取り込み、消化分解して無毒化する食作用の働きをもっています。
白血球のうち、好中球や単球が最近の取り込み作用に関与しています。
また、白血球のうち特に好塩基球、好酸球がアレルギー反応に関与しています。
体内に花粉やハウスダストなどのアレルゲンが侵入してくると、好塩基球が持つ抗体と結合します。すると、好塩基球はヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を遊離して、アレルギー反応を起こします。
好酸球は、好塩基球が出すヒスタミンを分解してアレルギー反応を緩和するように働きかけます。
その他、好酸球は寄生虫に対して障害反応を示します。寄生虫が体内に侵入し、好酸球が持つ抗体に結合すると、好酸球は特殊な蛋白を放出して寄生虫やその虫卵を障害します。
基準値
白血球数に異常が見られる場合には、どの白血球が増減しているのか確認する必要があります。
白血球数が増加する場合、
喫煙、細菌などが体内に侵入して炎症を起こしている、骨髄が異常増殖しているなどが考えられます。
喫煙では、気管や機関誌に慢性の炎症が起こっているため、白血球が増加してきます。
細菌感染による扁桃炎、肺炎、胃腸炎、腎盂腎炎などでは、白血球が盛んに作られ、血液中に増えていきます。
骨髄が異常増殖している場合は、白血病や敗血症などが疑われます。
白血球が減少する場合は、
骨髄の機能低下を起こす再生不良性貧血や、白血球の破壊が亢進する脾臓の機能亢進症などが疑われます。
白血球数が減少すると微生物に対する防御反応が低下するため、感染症に罹患しやすくなります。
異常をきたす疾患
白血球数が増減した場合は、どの白血球が増減しているかを確認することで、病態を推測することができます。
好中球
好中球は微生物の貪食に関与しており、感染症や炎症性疾患、悪性腫瘍、急性出血や溶血、副腎皮質ステロイド投与などで増加します。
好中球が減少する場合は、ウイルス性疾患、再生不良性貧血や急性白血病などの血液疾患、薬剤による減少が疑われます。
好酸球
好酸球は寄生虫に対する障害作用や、即時型アレルギーに対する抑制作用を持っています。
増加する場合には、寄生虫阿y、気管支喘息などのⅠ型アレルギー疾患、アジソン病などが疑われます。
減少する場合には、クッシング症候群などが疑われます。
好塩基球
好塩基球はアレルギー反応に関与していますが、反応性に増加することはまれであり、200/μL以上増加する場合は、骨髄増殖性疾患が疑われます。
リンパ球
リンパ球は、免疫反応に関与しており、増加する場合は、ウイルス感染症や、慢性リンパ性白血病などのリンパ系増殖疾患などが疑われます。
リンパ球が減少する場合は、リンパ球の産生低下を引き起こす、先天的リンパ系疾患や全身性エリテマトーデス(SLE)などが疑われます。
また、後天性免疫不全症候群(AIDS)では、病態が進行するにつれてリンパ球減少が顕著になります。
単球
単球は異物の貪食機能や、抗原を処理してリンパ球に伝達する能力を持っています。
増加する場合は、結核や膠原病などの炎症性疾患が疑われます。
また、重症感染症などで消費が亢進すると単球は減少します。
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