カルシウム薬
カルシウムは骨の構成成分であり、骨にとって必要不可欠な栄養素です。カルシウム薬の投与により、血液中のカルシウムが充足すると副甲状腺ホルモンの分泌が抑制され、骨に代謝回転が低下して骨吸収も減少します。
- アスパラCA(L-アスパラギン酸カルシウム)
- リン酸水素カルシウム
効能効果:骨粗鬆症などの代謝性骨疾患におけるカルシウム補給
また、骨粗鬆症の適応はありませんが吸収率の良い乳酸カルシウムが用いられることがあります。
カルシウム薬は単剤で用いられることは少なく、骨吸収抑制薬と併用されることが多いです。
特にカルシウム摂取不足の患者に推奨されます。
禁忌
- 高カルシウム血症の患者
- 腎結石のある患者
- 重篤な腎不全のある患者
投与時の注意点
カルシウム薬を長期投与する場合には、血中、尿中カルシウム濃度が高値となるため、定期的に血中または尿中カルシウム値の測定が行われます。
カルシトニン薬
カルシトニン薬は、破骨細胞にあるカルシトニン受容体に結合することで、直接破骨細胞に作用してその機能を抑制します。
また、中枢神経を介した鎮痛作用もあります。
- エルシトニン(エルカトニン)
10単位:週2回
20S :週1回 - カルシトラン(サケカルシトニン)
週2回
週1回または週2回、筋肉内注射で投与されます。
効能効果:骨粗鬆症における疼痛
カルシトニン薬は骨粗鬆症性骨折発生直後や椎体骨折に伴う姿勢変形などが生じた症例など、骨粗鬆症に起因する疼痛を有するときに用いられます。
投与時の注意点
カルシトニン薬の投与は6か月を目安とし、漫然に投与しないこととなっています。
相互作用
PTH薬、活性型ビタミンD3薬、カルシウム薬、カルシトニン薬は併用によって血清カルシウム値が上昇するため、併用注意となっています。
その他の骨粗鬆症治療薬
紹介してきた薬剤のほかに、イプリフラボン製剤のオステンや蛋白同化ホルモン薬のデカ・デュラミンが用いられることもあります。
- オステン(イプリフラボン):経口製剤
- デカ・デュラミン(ナンドロロン):注射製剤
最後に
参考文献
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2011年版)
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