検査からわかること
腎臓は、水分や電解質など生体に必要な成分が血液中に常に一定に保たれるように調節を行っています。
そのため、腎臓に障害が起こると尿が普段より濃くなったり、薄くなったりします。
このように尿比重、尿浸透圧検査では、尿の濃さ、希釈の状態をみることで腎臓病や心不全などの病気を探る手掛かりとなります。
尿比重、尿浸透圧は、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(バソプレシン)によって調節されます。
血液中のNa+濃度が高くなり浸透圧が高くなると、視床下部が感知し下垂体後葉からバソプレシンが分泌され、水分の再吸収が促進されます。
そのため、尿量は低下し、尿比重、尿浸透圧は高くなります。
逆に、血液中のNa+濃度が低くなり、浸透圧が低下すると、視床下部が感知し下垂体後葉からのバソプレシン分泌が抑制されて、水分の再吸収が抑制されます。
そのため、尿量が増加、尿比重、尿浸透圧は低くなります。
尿比重の基準値
尿比重の基準値は1.005~1.030です。
尿は、腎臓で体内の不要な水分や老廃物から作られています。
そのため、尿の中には、尿素やナトリウム、クロールなどの電解質が含まれており、尿の比重は水分より高くなっています。
尿浸透圧の基準値
尿浸透圧の基準値は、200~900mOsm/Lです。
尿比重、尿浸透圧と疾患
尿比重、尿浸透圧に異常をきたす疾患として、
高値の場合、
脱水、心不全、糖尿病が疑われます。
心不全では腎臓への血流量が減少し、尿が濃縮されるためです。
また、糖尿病では、尿量は増加しますが、尿中に糖が出てくることで、尿が過剰に濃縮され、尿の比重が高くなってしまいます。
低値の場合、
尿崩症や慢性腎炎が疑われます。
尿崩症では抗利尿ホルモンの産生低下、分泌障害により排尿回数が増え、多くの水分を摂取してしまいます。そのため、尿は薄くなり、尿比重は低下します。
慢性腎炎では水分を再吸収する能力が低下するためです。
持続性等張尿
腎機能障害が進行して重症の慢性腎不全に陥ると、尿濃縮や尿希釈の機能がともに低下するため、尿比重は1.010前後、尿浸透圧は、結晶浸透圧に近い300mOsm/L前後の等張尿で持続します。
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