今回は漢方薬の分類について学んでいこうと思います。
漢方薬も生薬のように分類があります。
まず治療効果による分類から学んでいきます。
治療効果による分類
漢方薬は治療効果により
- 病気の原因となる邪気を身体から除くもの
- 邪気による症状を改善するもの
- 気血水に関連した病態を改善するもの
- 上記以外の治療効果
の4つに分けられます。
病気の原因となる邪気を身体から除くもの
代表的なものとして
- 解表剤
- 瀉下剤
があります。
解表剤
解表剤は発表剤、発汗剤とも呼ばれ、身体の表面にある邪気を体外に出す働きがあります。
さらに、
- 辛温解表剤
- 辛涼解表剤
に分けられます。
辛温解表剤
悪寒が激しく口が乾かない場合に用いられます。
辛温解表薬(麻黄、桂枝、細辛など)を主体に構成され
麻黄湯や桂枝湯などが含まれます。
辛涼解表剤
明らかな発熱があり、口が乾いている場合に用いられます。
辛涼解表薬(薄荷、葛根、牛蒡子など)を主体に構成され
升麻葛根湯などが含まれます。
瀉下剤
排便を促進して、体内の邪気を除くものを瀉下剤といいます。
攻下薬(大黄、芒硝など)、潤下薬(麻子仁、桃仁、杏仁など)を主体に構成されます。
麻子仁丸や大承気湯、調胃承気湯などが含まれます。
邪気による症状を改善するもの
代表的なものとして、
- 清熱剤
- 温裏剤または温裏去寒剤
があります。
清熱剤
体の一部もしくは全身に発赤や発汗を伴う症状に用いられます。
石膏や知母、大火などの清熱薬を主体に構成されます。
黄連解毒湯や白虎加人参湯などが含まれます。
温裏剤(温裏去寒剤)
冷えや悪寒などを伴う症状に用いられます。
附子や桂枝、乾姜などの散寒薬を主体に構成されます。
人参湯や安中散などが含まれます。
気血水に関連した病態を改善するもの
代表的なものとして
- 補気剤
- 理気剤
- 補血剤
- 駆瘀血剤
- 利水剤
などがあります。
補気剤
気の不足による倦怠感や食欲不振などの症状に用いられます。
人参や黄耆、山薬などの補気薬を主体に構成されます。
六君子湯、補中益気湯などが含まれます。
理気剤
気の流れの鬱滞いにょる腹部膨満感や胸やけなどの症状に用いられます。
余分な水分を排出する作用をもつものも少なくありません。
陳皮や厚朴、香附子などの理気薬を主体に構成されます。
半夏厚朴湯や香蘇散などが含まれます。
補血剤
血の不足による月経不順や不眠などの症状に用いられます。
当帰や地黄、阿膠などの補血薬を主体に構成されます。
四物湯、当帰芍薬散などが含まれます。
駆瘀血剤
活血化瘀剤ともよばれ、知が停滞した状態である瘀血による月経異常や疼痛など用いられます。
牡丹皮や桃仁、川芎などの駆瘀血薬を主体に構成されます。
桃核承気湯、桂枝茯苓丸などが含まれます。
利水剤
水剤や駆水剤とも呼ばれ、体内に余分な水分がたまることによるむくみや排尿障害などの症状に用いられます。
厚朴や半夏、朮などの化湿薬、茯苓や猪苓、沢瀉などの利水薬を中心に構成されます。
五苓散や猪苓湯が含まれます。
その他
以上のほかに、
気血水の複合的な異常を改善する
気血双補剤
と
補陰剤というものがあります。
気血双補剤
気と血どちらも不足することによっておこる症状を改善するものです。
十全大補湯や人参養栄湯などが含まれます。
補陰剤
人体を構成する血液や水分などが不足することにより起こる症状を改善するものです。
滋陰降火湯(じいんこうかとう)や麦門冬湯などが含まれます。
上記以外の治療効果
ここまで説明してきた3つ以外にも重要な治療効果が存在します。
代表的なものとして
- 去風湿剤
- 止咳化痰剤
- 安神剤
- 固渋剤
があります。
去風湿剤
体外の湿気によっておこる関節痛や筋肉痛を改善するものです。
威霊仙、独活などの去風湿薬を主体に構成されます。
疎経活血湯などが含まれます。
止咳化痰剤(しがいけたんざい)
咳や痰、喘息などの呼吸器系の症状を改善するものです。
杏仁や五味子などの止咳化痰薬で構成されます。
麻杏甘石湯や清肺湯などが含まれます。
安神剤
精神不安や不眠などの神経系の症状を改善するものです。
竜骨や牡蛎、酸棗仁などの安神薬を主体に構成されます。
酸棗仁湯や抑肝散などが含まれます。
固渋剤
体内のもの、例えば大便や尿や精液などが漏れるのを自分でコントロールできない症状を改善するものです。
山茱萸や五味子などの固渋薬を主体に構成されます。
桂枝化竜骨牡蛎湯などが含まれます。
次は治療原則による分類について学んでいきます。
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