では、公費負担医療制度について学びます。
公費負担医療制度
公費負担医療制度とは、「感染症法」や「生活保護法」などの法律等に基づいて医療費を公費で負担する制度です。
医療費の負担割合は各々異なります。
この制度には、
- 公衆衛生工場の発展を図るため、特定の病気を対象にその医療費の全部または一部を公費負担する制度
- 医療保険の全部または自己負担分を負担し、経済的弱者を救済する社会福祉的制度
があります。
医療給付を行う主体は政府、都道府県、市区町村のいずれかで、地域によって取り扱われる公費は様々です。詳しくは地方自治体に確認して下さい。
保険調剤に関わる主な公費負担制度
上記の1に該当する制度
- 感染症法による結核患者の適正医療
- 児童福祉法による小児慢性特定疾病医療費の支給
- 石綿健康被害救済法による救済給付
- 肝炎治療特別促進事業に係る医療の給付
- 難病の患者に対する医療等に関する法律による特定医療費の支給
上記の2に該当する制度
- 生活保護法による医療扶助
- 中国残留邦人等支援法による医療支援給付
- 戦傷病者特別援護法による更生医療
- 障害者総合支援法による更生医療等
- 児童福祉法の措置等に係る医療の給付
- 原子爆弾被爆者援護法による認定疾病医療等
公費負担医療の適用を受けるためには、それぞれの法令によって厳しい審査があり、受給資格を取得した人には受給者証が交付されます。
薬局では、処方箋受付時にこれらの受給者証を確認する必要があります。
公費負担医療制度には公費負担番号が定められており、その番号にも法別番号があるので、保険者番号の法別番号と混同しないように気を付けましょう。
公費負担医療制度の指定薬局、契約保険薬局、保険薬局
公費負担医療制度にはその法律によって取り扱い薬局の指定を受けなければならないものがあります。
指定薬局
指定薬局とは、公費負担医療を担当するための指定を受けた躍起薏で、指定がないと公費負担医療を行うことができません。
- 感染症法による結核患者の適正医療
- 生活保護法による医療扶助
- 障害者総合支援法による更生医療等
- 戦傷病者特別援護法による更生医療
- 原子爆誕被爆者援護法による認定疾病医療等
- 難病の疾患に対する医療等に関する法律による特定医療費の支給
- 児童福祉法による小児慢性特定疾病医療費の支給
契約保険薬局
契約保険薬局とは、取り扱いのために地域の担当課と契約を集結している薬局のことです。
- 肝炎治療特別促進事業に係る医療の給付
保険薬局
その他については、原則保険薬局であれば取り扱うことができます。
- 児童福祉法の措置等に係る医療の給付
- 石綿健康被害救済法による救済給付
生活保護法
生活保護は、国が主体となって生活困窮者の保護を行い、最低限度の生活を保護するとともにその自立を助けるものです。
保護には次の8種類の扶助があります。
- 生活扶助
- 住宅扶助
- 教育扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
この中で、医療扶助について説明します。
医療扶助
医療扶助の範囲は、健康保険法等の療養の範囲と同じです。
患者は福祉事務所長に申請し、福祉事務所長は指定医療機関からの意見をもとに総合的に判断して、患者へ「調剤券」を発行します。
ほかの公費負担医療のように「医療受給者証」が発行されるわけではなく、
調剤券に
- 公費負担番号
- 受給者番号
- 氏名
- 年齢
- 指定機関名
- 有効期間 等
の必要事項が記載されています。
指定機関名が記入されているので、患者は指定された薬局へ調剤券を提示します。
どこの薬局でもいいというわけではありません。
調剤券は原則、調剤報酬請求月の翌月から1年間保存が必要です。
生活保護では窓口での一部負担金はありません。
社保の場合
医療保険の給付が生活保護に優先して「併用」され、自己負担分が生活保護の適用となります。
国保の場合
生活保護受給の日から被保険者資格を失うため、生活保護単独の適用となります。
公害医療
公害医療は、大気汚染などの公害によって病気や障害を受けた患者の救済のために設けられた医療制度です。
認定を受けた患者には「公害医療手帳」が交付されます。
手帳に記載された疾患やその続発症 ⇒ 全額給付
それ以外 ⇒ 他保険の適用
公害医療は指定申請の必要がないため、保険薬局であれば公害医療を取り扱うことができます。
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