薬を服用するうえで、可能な限り同じタイミングで服用したいですよね。
服用回数、タイミングが多くなるほど、服用忘れが増え、アドヒアランスの低下につながるといわれています。
エパルレスタットとは
エパルレスタット(キネダック等)とは、 糖尿病性末梢神経障害に伴うしびれ感、疼痛等を改善する 薬として知られています。
添付文書上の用法用量は
「1回50mgを1日3回毎食前に経口投与。なお、年齢症状により適宜増減。」
添付文書に食前と記載があるんだから、このお薬は食前じゃないとだめだね。
でも、食後の薬も飲んでるのに、食前も飲むなんて飲み忘れそう・・・
なんで食前じゃないとダメなのか知りたいわ。
なぜ食前投与??
エパレルスタットが食前投与である理由についてはその作用機序にあります。
作用機序
エパルレスタットは、グルコースからソルビトールへ変換するアルドース還元酵素を阻害して、ソルビトールの神経内細胞への蓄積を抑制することにより、糖尿病性末梢神経障害に伴うしびれ感、疼痛等を改善します。このソルビトールが細胞機能障害を誘発するといわれており、末梢神経障害の原因であると考えられています。
ん?だからどういうこと??
要するに
ソルビトールが神経内に多くなる時に阻害したい ⇒ ソルビトールはグルコースが血中にあるほど多く作られる
臨床試験において、健常成人男子10例に50㎎を食前30分、食後30分に単回投与した時、食前投与に比べ、食後投与では、Tmaxの遅延(1.05時間→1.45時間)、Cmaxの低下(3,896ng/mL→2,714ng/mL)が認められたという文献があります。
血糖値と神経内のソルビトール含量は正相関があり、エパルレスタットは血糖値が高い時に阻害作用が強く発揮される。
よって、食前投与すると食事を摂取する時には既にエパルレスタットが有効血中濃度(500ng/mL以上)に達し、血糖値の上昇時には有効血中濃度以上を維持しているが、食後投与では有効血中濃度に到達する前に既に血糖値が上昇してしまいます。
よって、アルドース還元酵素阻害作用が十分に発揮されるためには、食前投与が必要である。
まとめ
- エパルレスタットは血糖値が高い程、アルドース還元酵素の阻害活性が強いという性質を持っています。
- エパルレスタットを食後に服用した場合は最高血中濃度到達時間(Tmax)が30分長くなることから、食事による血糖値の高い時期とエパルレスタットの血中濃度のピークがずれてしまう可能性があります。
- 食前投与、食後投与で有効性を比較したデータはないが、食後に服用した場合はエパルレスタットの吸収が低下します。よって、エパルレスタットの作用をより発揮させるためには食前投与が理想的であると考えられます。
飲むタイミングが増えてしまいますが、症状を改善するためにはとても大切なお薬です。
食事の時間が大体決まっている場合には、その時刻の30分前にアラームをセットするなどして飲み忘れの対策を行いましょう。
食事の時間に決まりがない、大体の時間で食べている方は、食事の時にいつも使うものや、いつも座る席に食前に服用するように指示する用紙などを貼り付けたり、食事を作る場合にはその時に見えるように冷蔵庫の扉部分に食前の薬を服用すること明記した紙を貼ったりすると効果的かもしれません。
皆様の症状が軽くなるように、指示通りの服用をおすすめします。
では(@^^)/~~~
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