関節リウマチの治療に用いられる薬の「メトトレキサート(リウマトレックスⓇ)」
この薬は1週間のうち決められた曜日のみ服用する薬で、それ以外は休薬する必要があります。
それはなぜか?
解説していきたいと思います。
リウマトレックスⓇの添付文書はこちら
メトトレキサート(MTX)の作用機序
MTXは細胞に直接作用して細胞分裂を阻害するため、「細胞毒性薬」と呼ばれています。
その作用機序について説明しますね。
ジヒドロ葉酸還元酵素にMTXが結合して、テトラヒドロ葉酸の合成を阻害することでDNAの合成を阻害します。
関節リウマチの治療においてMTXを用いてDNAを阻害することにより、免疫担当細胞の増殖を抑制して抗リウマチ作用を示しています。
一方、DNA合成阻害に細胞選択性がない(どこの細胞のDNAの合成も阻害してしまう)ため、骨髄抑制や間質性肺炎、消化器毒性、肝障害などの副作用が起こることがあります。
関節リウマチの治療にMTXを使用した解析報告(460例)によると、24週にわたる観察機関のうち、56.5%の患者に何らかの有害事象が認められたとあります。
特に骨髄抑制は致死的となることもあるので、危険因子を考慮したうえで過量投与とならないように注意が必要です。
過剰投与で骨髄抑制が発現??
関節リウマチの治療で、MTXの低用量間欠投与はよく行われています。
用法用量は、原則6~8mg/週(最大16mg/週)を1日1回または2~3回に分割して、12時間間隔で1~2日間かけて経口投与し、残りの日数は休薬期間とします。これを1週間単位で繰り返します。
もし、休薬期間をもうけなかった場合はどうなるのでしょうか??
そういった危険な実験を行うことは不可能ですが、2010年から2015年の間に5件程、医療事故として連日投与による過剰投与で骨髄抑制が発生したという報告があります。
したがって、休薬せずに連日で服用すると、骨髄抑制などの副作用が起こる恐れがあるということです。
よって、休薬期間はかならず設けること、そのうえで、安全性と有効性のモニタリングのために定期的な身体評価と関節評価および検査を行う必要があります。
投与開始後、増量後6か月以内は2~4週ごとに行い、その後有効性と安全性が確認された後は、4~12週ごとに臨床検査値を確認することが望ましいです。
一緒にでてる葉酸はなに??
前述したように、MTXの作用には特異性がないため、種々の副作用が発現する恐れがあります。その副作用ですが、「葉酸を外から補う」ことで軽減することが可能といわれています。
そのため、葉酸製剤の併用投与は副作用軽減、および治療継続に有効であり、必要に応じて考慮することとされています。
特に8mg/週を超えて投与する場合や、副作用のリスクの高い高齢者、腎機能低下(軽度)では葉酸の併用が強く推奨されています。
葉酸の投与量は、5mg/週以下、MTXの最終投与から24時間~48時間経過した後に投与してください。
2㎎と2.5mgの違いは??
MTXの効能効果は
抗リウマチ(リウマトレックスⓇカプセル2mg)
抗悪性腫瘍(メトトレキセートⓇ錠2.5mg)
の2つの目的で使用されています。
抗リウマチの目的では2㎎の製剤が使用されます。1週間の投与計画としては、初日から2日目にかけて12時間ごとに投与し、残りの5日間は休薬期間とします。
抗悪性腫瘍では2.5㎎の製剤、あるいは注射剤が使用されます。経口投与の場合は化学療法のレジメンによって異なりますが、数日間連日で投与して、その後7から14日間の休薬期間をあけることがおおいです。
MTXを初めて使用する患者さんには、使用目的や用法用量、選択する製剤が正しいのか、服用方法をきちんと理解できているのかといことも含めて確認を行う必要がありますね。
間違えたら大変です。
最後に
MTXの休薬期間の理由・・・
わかっていただけましたでしょうか?
連日投与することで致死的な副作用が出現してしまいます。
より良い効果と副作用を軽減して治療ができるように指示通り服用してくださいね。
では(@^^)/~~~
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