医薬品の管理⑨…毒物劇物

医療・薬

毒物劇物の取り扱い

毒物・劇物は毒物及び劇物取締法でその取扱いが規定されています。

そして、毒物・劇物を薬局で販売するためには、毒物劇物販売業の登録が必要となります。

詳しくは、薬務課もしくは最寄りの保健所等行政に相談してください。

農薬は病害虫防除所に相談をしてください。

毒物劇物の位置づけ

Q.一般の人から殺虫剤を購入したいと相談がありました。

A.多くの殺虫剤は毒物または劇物に指定されています。殺虫剤を販売する場合には毒物劇物販売業の登録を行っておく方がいいです。

毒物・劇物の表示

  • 毒物または劇物の名称
  • 毒物または劇物の成分および含量
  • 製造業者または輸入業者の氏名、住所
  • 赤地赤枠白字で「医薬用外毒物」または白地赤枠赤字で「医薬用外劇物」の表示
  • 有機リン化合物やその製剤については、解毒剤(パム、硫酸アトロピン等)の名称を明記

毒物・劇物の保管管理

毒物劇物を貯蔵または賃れるする場所には、次の点に気を付ける必要があります。

  • 他のものと区別して保管する
  • 保管設備は盗難、紛失、漏洩、流出防止のため、頑丈かつ固定し施錠する
  • 鍵の管理者は明確にし、管理を徹底する
  • 保管設備には「医薬用外」の文字と「毒物」または「劇物」の文字を表示する
  • 地震対策(転倒しないように)する
  • 使用量、残量の管理簿をつける

販売制限

次に該当する者には、毒物、劇物を販売することができません。

  • 18歳未満の者
  • 精神病者または麻薬、大麻、あへんもしくは覚せい剤の中毒者

毒物、劇物は安全に取り扱いできるものにしか販売できません。よって、身分確認はしっかりと行う必要があります。また、不信を感じたら販売をやめて警察へ連絡してください。

販売の手引き

毒物、劇物を販売する際には、譲り受ける方から書面(譲受書)を受け取る譲り渡し手続きが必要となります。

譲受書の内容

次の事項を記載して、捺印した文書を受ける必要があります。

  • 毒物または劇物の名称
  • 数量
  • 販売または授与の年月日
  • 譲受人の氏名、職業および住所(法人に当たっては、その名称及び主たる事務所の住所)

使用目的及び使用量が適切かどうか必ず確認するようにしましょう。

この書面は販売日から5年間保存する必要があります。

毒物劇物販売業者へ販売する際の留意事項

同業者(毒物劇物販売業者)に毒物劇物を販売する際には、毒物劇物帳簿を作成して、記載すること。

その場合も使用目的及び使用量が適切かを確認してください。

帳簿に記載する事項も譲受書と同様の内容です。また、保存期間も販売日から5年間と同様です。

販売する際の情報提供

毒物劇物を販売する際には、MSDS(Material Safety Data Sheet)を添付して提供することが義務付けられています。

MSDSとは

化学物質安全性データシートで毒物劇物の添付文書のことです。

MSDSには次のような内容が記してあります。

  • 毒物劇物営業所の氏名、住所
  • 毒物または劇物の別
  • 名称並びに成分及びその含量
  • 応急措置
  • 火災時の措置
  • 漏出時の措置
  • 取り扱い及び保管上の注意
  • 暴露の防止措置及び防護のための措置
  • 物理的および化学的性質
  • 安全性及び反応性
  • 廃棄上の注意
  • 輸送上の注意

毒劇物の納入者の役割

情報(MSDS)提供の対象

情報の提供は、毒物及び劇物を販売し、または授与する場合を対象とします。

同一薬物で同一譲受者に対して少なくとも初回譲渡時に交付しなければなりません。

提供の方法

磁気ディスクの交付、その他の方法により情報を提供する場合は、当該方法により情報を提供することについて譲受人の承諾が必要です

廃棄について

毒物、劇物を廃棄する場合には、中和など解毒して廃棄することが原則です。(MSDSに詳細は記載されています)

事故の際の対応

悲惨、漏洩、流出した場合

行政、警察署、消防機関に連絡します。

盗難または紛失した場合

警察署に連絡します。

届出と被害を拡大しないために、立ち入りを禁止させたり、風下の人に知らせて退避させる、防護具があれば着用するなどの処置を行います。

詳細は(財)日本中毒情報センター 中毒110番へ確認を行ってください。

応急処置について

誤って飲み込んだ時

まず、水や牛乳を飲ませます。

これは、胃液を薄めて薬剤を吸収しにくくするためです。

次に喉の奥を刺激して吐かせます。この時気管に入らないように気を付けてください。

ただし、意識消失や痙攣時には行ってはいけません。

次の製品に関しては別途処置が必要です。

  • 防虫剤、石油製品など ⇒ 牛乳はかえって吸収しやすくなるためNG!!!
  • 石油製剤、杏さん、強アルカリを含む製品(洗浄剤、漂白剤など) ⇒ 嘔吐はNG!!!(食道のやけどを再度行ってしまい、症状悪化や胃に穴が開いてしまうことにつながります)

ガスを吸引したとき

きれいな空気の場所に移動させて安静にさせます。

皮膚についたとき

石鹸で充分に洗い流します。

毒物のついた着衣はすぐに脱がせます。

目に入った時

水道水(弱い流れの水)で15分以上洗い流します。この時勢いの強い水で流すと目に障害を与えることがありますので注意が必要です。

中毒事故の場合の対応

毒物劇物による中毒事故が発生し、重篤な被害者が出ている場合

意識がないとき、呼吸が止まっているとき

その場合には、直ちに医療機関を受診させます。

受診の際には毒物劇物の種類、摂取量、摂取経路を伝えましょう。瓶や空き箱は必ず取っておいてください。

最後に

これで、毒物劇物の管理についてまとめ終わりました。不足していることがあれば、お問合せフォームからコメントいただけますとうれしいです。

次には、農薬の管理についても別にまとめたいと思います。

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