漢方薬の基礎②

医療・薬

漢方薬の加減方と合方について勉強したいと思います。

加減方とは

既定の処方に生薬を加えたり減らしたりすることです。

加える場合を加方

減らす場合を去方

といいます。

生薬を加えたり、減らしたりする操作が処方名に反映されることもあります。

例)
桂枝茯苓丸薏苡仁・・・桂枝茯苓丸に薏苡仁を加えた処方
抑肝散陳皮半夏・・・抑肝散に陳皮と半夏を加えた処方

漢方薬処方を構成する生薬の数を数えるときには。

一味、二味と「味」を用いて数えます。

合方とは

2つ以上の処方を合わせることのことを合方といいます。

合方といっても、処方に含まれる各生薬の量を単純な足し算とするわけではありません。

共通する生薬の量は多い方の量に合わせるというルールが存在します。

これは、共通する生薬の量が過多にならないようにするためです。

よってい、複数の処方を合方したい場合にエキス剤を用いるときには、

それぞれの生薬の量を調節することは不可能ですので、重複する生薬の量には注意する必要があります。

合方の例

桂枝湯+麻黄湯

片方にしか含まれない生薬:桂枝湯の芍薬、大棗、生姜や麻黄湯の麻黄、杏仁
⇒これはそのままの量を入れます。

共通して含まれる生薬:桂皮、甘草
⇒多い処方の量に合わせます。

この例をエキス剤を用いた場合には

桂皮は元の処方の2倍、甘草は元の処方の1.7倍の量となります。

よってこのことで副作用の発現に注意する必要があります。

特に注意が必要な生薬が甘草です。

甘草の副作用とは?

甘草は最も使用頻度が高い生薬で、漢方薬のおよそ7割程度に含まれています。

甘草は、その主成分であるグリチルリチン酸によって、

  • 低カリウム血症
  • ミオパシー
  • 偽アルドステロン症

などの副作用を生じる可能性があります。

※市販薬の漢方薬に含まれる生薬量は医療用より少ないことが多いですが、患者さんが自己判断で服用している場合もありますので、よく確認することがたいせつです。

合方から生まれた新たな処方

現在よく使われる処方の中には、合方によって考え出され、その処方に新たに名前がついたものがあります。

例えば、

小柴胡湯+桂枝湯 = 柴胡桂枝湯

小柴胡湯+五苓散 = 柴苓湯

四君子湯+二陳湯 = 六君子湯

四物湯+黄連解毒湯 = 温清飲

などがあります。

ではこの辺で、今回は終わります。次は漢方薬の煎じ方を勉強していこうと思います。

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