便検査について、便の性状を簡単に確認した後に、便潜血と寄生虫卵について書いていきたいと思います。
便の性状
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正常な便は、黄褐色をしています。
胆汁色素であるビリルビンが腸内細菌によって分解されて無職のウロビリノゲンになります。
ウロビリノゲンはさらにウロビリンやステルコビリンに分解されます。
このウロビリンやステルコビリンが黄褐色を示します。
便の成分は、食物残渣がほとんどを占めており、その他、消化液、食べ物の分解産物、腸内細菌などが含まれています。形はバナナ状であり、硬すぎず、また緩すぎないのが理想です。
便潜血
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便潜血についてまとめます。
便潜血は、がん、潰瘍などの消化管の出血性病変のスクリーニング検査として重要となります。
便潜血は特に大腸がんのスクリーニング検査として普及しています。
障害部位によって便の色が変化しています。(下記図参照)
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上記のほか、鼻血や歯肉の出血でも陽性(+)となるため、陽性の場合は消化管からの出血と区別する必要があります。
寄生虫卵
続いて、寄生虫です。
近年、生野菜の摂取やペットの飼育、海外旅行先での感染などによりさまざまな寄生虫病感染がみられるようになりました。
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人体に感染した寄生虫は、消化管や肝臓などの臓器の中で繁殖し、やがて虫体や卵が便に交じって出てくるようになります。
寄生虫卵検査では、便を採取し、顕微鏡で観察します。
糞便中に排泄された寄生虫やその卵の有無で感染しているかどうかを調べます。
糞便に混じって寄生虫やその卵が見られたら異常です。
本国で見られる主な寄生虫病の一覧を下記に表します。
蟯虫症はよく耳にする寄生虫です。蟯虫は世界中に分布しており、汚れた手を介して蟯虫の卵で感染します。
蟯虫は肛門から出てくるときに肛門周囲に卵を産み付けることで肛門周囲にかゆみをともないます。
鞭虫症は熱帯地方への旅行者が野菜などを食べることで、卵で感染します。
腹痛や下痢といった症状が見られます。
糞線虫症は熱帯や亜熱帯に分布しています。
皮膚を介して幼虫で感染します。主な症状は下痢です。
回虫症
回虫は世界中に分布しており、生野菜を介して卵で感染します。
症状は腹痛や時に腸閉塞が見られます。
条虫症は、生のサケやマスを介して、幼虫の卵で感染します。
腹痛や下痢といった消化器症状がみられます。
住血吸虫症は水田や沼地に分布し、皮膚を介して幼虫で感染するため、進入時に皮膚炎を生じます。粘血便や肝脾腫などを呈します。
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