臨床検査 尿検査(尿蛋白)

医療・薬

尿たんぱくから勉強していきます!

尿蛋白

蛋白は、人間の生命活動にはかかせないため、血液中に常に一定量含まれています。

一部の蛋白、すなわちミクログロビンと呼ばれる低分子の蛋白は、腎臓の糸球体でろ過されて尿中に出て来ます。しかし、尿細管で再吸収されて血液中にもどるため、健康な人では蛋白は尿中にほとんど出て来ません。

ところが、何らかの原因で腎臓に障害が起こって、糸球体のろ過機能が低下したり、尿細管での再吸収に障害が見られたりすると、尿中に多量の蛋白が混じって出て来ます。

このように糸球体の障害で見られるたんぱく尿を糸球体性たんぱく尿

尿細管の障害で見られるたんぱく尿を尿細管性たんぱく尿と言います。

検査方法

尿蛋白の検査では、定性検査と定量検査があります。

定性検査

尿の中に試薬や試験紙を入れ、変色の度合いによって蛋白が出ているかどうかを調べます。

定量検査

1日分の尿に含まれている蛋白の量を調べます。

このように尿たんぱくを検査し、腎機能に障害があるかどうかを調べます。

糸球体性たんぱく尿と疾患

糸球体性たんぱく尿をきたす疾患として、腎炎やネフローゼ症候群などがあります。

また、動脈硬化で血管が固くなりろ過機能が低下している場合には腎硬化症が疑われます。腎硬化症は、糸球体の細胞の目が粗くなり、蛋白が通りやすくなります。

その他、うっ血性心不全で心臓に流れる静脈血がうっ血すると、尿たんぱくが出やすい状態になります。

糸球体性たんぱく尿では主にアルブミンが尿中に排泄されてきます。

尿中アルブミンの排泄増加は、先ほどの疾患の初期に見られますが、時に糖尿病性腎症の早期診断に有用とされています。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症では早期から糸球体基底膜の透過性が高くなっているため、尿中アルブミンの微量な増加が見られます。このような尿を微量アルブミン尿といいます。

糖尿病の患者は通常の検査で陰性であっても、微量アルブミン尿が1日に30~200mg見られた時点で糖尿病性腎症と診断されます。

尿細管性たんぱく尿と疾患

尿細管性たんぱく尿は尿細管がなんらか障害を受け、糸球体を通過した低分子蛋白(ミクログロビン)などの再吸収が十分されなくなり、尿中に多量に排泄される尿のことです。

尿細管の障害を生じる疾患として、急性尿細管壊死、カドミウムなどの重金属中毒、ファンコニー症候群などがあります。

生理的たんぱく尿

その他、腎臓の病気以外にも蛋白が出る原因はあります。

例えば、38度以上の発熱、激しい運動の後、ストレスなどで一時的にたんぱく尿が見られることがあります。これらは生理的たんぱく尿と呼ばれ、病気とは区別されます。

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