臨床検査・血球検査(血小板)

医療・薬

次は血小板についてまとめます。

血小板(Plt)

血小板は骨髄で幹細胞が分化を繰り返して巨核球になった後、巨核球からちぎれてできたものです。

直径1~4μmで顆粒を有し、その周囲を透明部分が取り巻く円盤状の小さな細胞です。

血小板の役割

血小板は止血の役割を果たしており、時に一次止血に関与しています。

一次止血とは、血管が傷ついた部分に血小板が集まって蓋をし、とりあえず出血を止めるまでの過程のことです。

基準値

血小板の基準値は、13万~35万/μLです。

血小板の一次止血の仕組み

けがなどにより出血すると、血管の傷口に血小板が集まってきて、血管壁に粘着します。

血管べきに粘着した血小板は活性化し、お互いにくっつきます。これを凝集といいます。

やがて、大きいかたまりとなって血小板血栓をつくり、損傷部分をふさぎます。

このようにして、ひとまず出血がとまります。

血小板に異常をきたす疾患

血小板が減少する疾患

血小板は止血に関与しているため、減少すると出血しやすくなります。

血小板を減少させる疾患は、原因により3つに分けられます。

①血小板産生の低下

再生不良性貧血や、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)など、産生場所となる骨髄や幹細胞の障害によって血小板の産生が低下します。

②血小板の破壊、消費の亢進

この場合、さらに免疫機序を介した破壊の亢進と、免疫機序を介さない血栓形成による消費の亢進に分かれます。

免疫機序を介した破壊の亢進では、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や全身性エリテマトーデス(SLE)などが疑われます。

これらの多くは血小板に対する自己抗体が産生されて血小板に結合し、脾臓などでマクロファージによって処理されることにより血小板が減少すると考えられています。

免疫機序を介さない血栓形成による消費の亢進の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)や血栓性血小板減少性紫斑病などが疑われます。

③血小板の分布の異常による減少

骨髄で産生された血小板は体内を循環しますが、約3分の2は循環血に、残りの3分の1は脾臓に分布されます。

肝硬変などで脾臓の腫大が見られると、脾臓に分布される血小板数が多くなり、結果として、循環血中の血小板数が減少します。

血小板減少を誘発する薬剤

血小板減少を誘発するといわれている主な薬物として、抗不整脈薬の硫酸キニジン、抗マラリア薬の塩酸キニーネ、抗結核薬のリファジン、抗菌薬のバクタ、降圧薬のアルドメット、鎮痛解熱薬のカロナール、心不全治療薬のジゴキシンKY、ハーフジゴキシンKYなどがあげられます。

肝障害のある方は、薬物の代謝が変わり、薬物による血小板減少が出やすくなるため、特に注意が必要です。

血小板が増加する原因

血小板が増加する原因には、主に骨髄の異常増殖が見られるものと、骨髄以外の原因で増加する反応性のものに分けられます。

血小板数が100万/μLを数回超える場合には、骨髄増殖性疾患の可能性が高いとされています。

この場合、本態性血小板血症や慢性骨髄性白血病など、骨髄で巨核球の増殖が亢進するような病態が疑われます。

血小板数が60万/μL以下で、ときに100万/μL程度まで増加が見られる場合には、主として反応性の増加によるものです。

出血や手術、鉄欠乏性貧血、悪性腫瘍、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患が疑われます。

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